あなたは「自分の人生の目的ってなんだろう?」と考えたことはありませんか?今回はアーユルヴェーダにおける「ダルマ(使命・人生の目的)」についてや、幸せに生きるためにはどうしたら良いのかをお話をしていきます。
この記事の内容
- 人生の目的とは何か
- アーユルヴェーダにおけるダルマ(使命)について
- アーユルヴェーダにおける人生の目的3つ
- ダルマを知るヒント
アーユルヴェーダにおけるダルマとは「使命」のこと
あなたは「自分の人生の目的ってなんだろう?」と考えたことはありませんか?
それを見つけることはとても難しいことですが、アーユルヴェーダやヨガにおいては「すべての人にはダルマ(使命・人生の目的)がある」といわれています。
私たち人はそれぞれ性格も体型も違います。この個性によってそれぞれ独自の能力を持っていて、その能力が必要とされる場所や状況が必ずあるというのです。
そして、その行いによってほかの人生の目的である「アルタ(実利や財産などの物質的な豊かさ)」が満たされていくというわけです。(そのほかの人生の目的については、この記事の後半でご紹介していきます。)
ダルマと利己的主義
例えば、同じ会社経営のAさんとBさんがいるとします。
Aさんは「人のためにどうするべきか」を考え、Bさんは「自分に利益を生み出すためにはどうしたらいいのか」を考えて行動を起こします。
すると、Aさんの方が物質的な富も満たされる上、人のために役に立ったという徳が積まれるので笑顔を生み出すことができ、結果として幸福を拡大することにつながるというのです。
Bさんもお金を稼ぐことはできるかもしれませんが、お金があっても虚しさが生まれ、その中で人を信頼できずに自分の利益の事ばかり考え、利己的な人ばかりが周囲に集まってしまい、何かしらのトラブルに巻き込まれる・・・という可能性があるのも事実です。
つまり、あなた自身が幸せになるためには、自分の行動は「どうすれば人の役に立てるか」という考えが基準になっているかが重要というわけですね。
ダルマ(人生の目的)は40代ころから目覚めだす?
アーユルヴェーダでは大体40代後半頃から始まる「ヴァータ」の時代になるころから、徐々に自分の「するべきこと」が見えてくると言われています。
ヴァータは清澄な性質があるので、心と体が整っている人は、その奥にある魂レベルの自分の目的が徐々に現れてくるといいます。
しかし、もちろんそれには個人差があります。
例えば生まれたころからピアノをやっている人は、そのままピアノの才能と培った経験をもとに、それより早く「私の人生はこのためにあるのだ」と感じることもあります。これはアスリートなども同じことが言えますね。
この場合は早熟なダルマへのきづきかもしれませんし、親が子供をよく見て適正と活躍できる場面をマッチできたからそうなったからかもしれません。
一方で、その経験は誰かの価値観で自分の中でいやいややっていた場合は、今までやっていたことをすべて放り出して、本当にやりたかったことに目覚めるときでもあります。
「中年クライシス」という言葉のように、40に差し掛かるころに「このままで良いのだろうか」と疑問を抱くのも、ヴァータの性質が高まってきたからとも言えるでしょう。
アーユルヴェーダにおける人生の目的は3つ
人生の三大目的(トリ・ヴァルガ)
・ダルマ(法;徳)
・カーマ(願望;快楽)
・アルタ(実利;富)
このトリヴァルガを矛盾しないように追及することが良いといわれています。
また「アルタ→カーマ→ダルマ」の順番で満たされていくべきだとも言われています。
それでは、トリヴァルガについてひとつひとつ説明していきます。
ダルマ(法;徳)
ダルマとは、「自分の人生の目的・使命」のことです。
つまり、私たち人間が生まれ持った肉体的な特徴や精神的な性質を生かして、社会的に役に立つことをするということです。
人間は生まれてからその生涯を終えるまで、成長し続けます。その成長の中で自分自身が幸せになり、さらに近くの周りの人を幸せにし、その幸せを拡大していくのが人間の義務というように言われています。
そして、その中幸せを拡大していく中で、どのような行動をとっていくかがこのダルマ(人生の目的)に当たります。
例えば、数学などの計算能力が高く、子供が好きでわかりやすく教えるのが得意といった性質を持っていたとしましょう。その場合には、中学校の数学の教師になっているかもしれません。
また、同じように数学が得意でも、コミュニケーションが好きではなく、自分のペースで物事を進めるのが得意な人は、数学の研究者になっているかもしれません。
このように、同じような得意なことを持っていたとしても、その人の性質や考え方によってダルマが大きく異なります。
カーマ(願望;快楽、愛)
カーマとは、願望や快楽、性愛などと訳されていて、パートナーとの性的な豊かな人間関係、また生活における快適さや願望のことです。
カーマはカーマ・スートラという愛の経典から来たものです。
その内容をざっくり言えば、性行為の仕方を始め、心の通ったパートナーと行う性行為は、アートマン(魂)と結びついてとても良いものだと書かれています。
もちろん性愛だけではなく、パートナーとどのように向かい合うべきかなどが書かれています。(例えば、男性は女性には優しくしなくてはいけない。のように)
アルタが満たされた後にカーマを満たすと良いといわれている理由は、アルタが人間が必要最低限生きていくうえで必要な物質的豊かさを求めるもので、カーマはその上で快適さや心地よさを満たすからです。
座るのに必要不可欠なイスはアルタで、リラックスするのにあると便利なソファはカーマというような感じです。
アルタ(実利;富)
アルタは「実利」や「富」のことを言います。
いわば物質的に満たされるものや概念のことです。
私たちが生きていくのに衣食住はとても重要で、最初にこのアルタを満たしていくことが大切と言われています。
衣食住がそろわないと、他人の幸せおろか、自分自身が幸せになることができないからです。
さらに、自分の夢をかなえるための勉強や、自分の人生の中で大切な存在となる友人もこの部分に入ってきます。
人間としての生物的な安心欲求から、最低限必要な文化的な教育などの部分がこのアルタにあたります。
外国の貧困層などできれいな水が飲めずに健康を害してしまう状態にあったり、紛争地帯で暮らしていて身の安全が保てていない状態は、アルタがまだ満たされていない状態ということです。
おまけ・モークシャ(解脱)
おまけとしてお伝えしますが、これはアーユルヴェーダをはじめ、ヨーガや仏教などに通じている重要な概念です。
アルタ・カーマ・ダルマ・モークシャの4つで
モークシャは解脱のことです。つまり、私たちの魂が学びを終えて、輪廻転生という苦しみの繰り返しから抜け出すことです。
生きることはバランスが乱れているということ」という考えがベースになっています。
つまり、自分のネガティブな気持ち、愛する人との別れ、健康の侵害、死……このようなネガティブなことの繰り返しから「自由になる」ということ。
この考え方は、最初にお伝えした3つの人生の目的(ダルマ、アルタ、カーマ)とは違い、その人の一生の枠を超えた最高の目標とされたわけです。
今世の嫌なことは、過去に自分が行ったものがかえってきている(因果)ということから、この一生の間にどのようにして今までの行いを清算し、この不自由な世界から抜け出すかということが行動基準になるわけですね。
その最高目的の達成のために、アーユルヴェーダやヨガ(行為、知識など)があり、それと同時に「人間が正しく生きる道」というような法典が多く成立したのですね。
ちょうどそれは登山をして頂に行くときに、様々なルートが存在するのと同じといえるでしょう。
アーユルヴェーダにおけるダルマ(人生の目的)を知るヒント4つ
私たち日本人は生まれたころから社会的にアルタを満たすことは保証されています。なので、次に目指すところは、パートナーとの愛や、学習、少し贅沢ができるような余裕でしょう。
しかし、やっぱり人間として生まれてきたのなら、自分の人生の目的を知っていきたいですよね。
そこで大切なのは、自己理解とどこで活躍できるかということ。そして、自分でそれを決めちゃうことです!
では、そのヒントについて4つご紹介していきます。
1、心と体を整える
心と体を整えることは、生きる上でとても大切なことです。
自分の命を継続させることももちろんながら、人生の満足度を上げるためにも、常に自分の心と体のバランスを整えてあげるとよいです。
例えば、疲れたときはヴァータが乱れ、普段だったら別に気にしないようなことでもイラっとしてしまうことがありますよね。
もし睡眠不足がずっと続き、この状態が当たり前になってしまうと、周囲の人との人間関係も悪くなってしまいます。
もったいないと思いませんか?
普段あと1時間長く寝るだけで、パートナーや友人との関係が良くなるのに、そのケアをしないのは。
さらに、メンタル的な面で言えば、人の価値観の中に生きてしまうと、自分らしさを見失ってしまって、つらい思いをしたり病気になって心と体のバランスを崩してしまうことがあります。
よく、やりたくない仕事をやらされて鬱になってしまったという会社員の方もいますよね。
このような状況に「OK」と許さずに、「私は幸せになりたいから、体と心を大切にする!」という風に決めて、行動をしていけるとよいですね。
自分を大切にするという意味では、心と体をしっかりとケアしてあげる、バランスを整えてあげることが大切です。
2、あなた自身の理解度を高める
自分自身の心と体のバランスを整える上で大切になってくることは、あなた自身の理解度を高めることです。
自分自身の理解度というと、何となく得意なことや苦手なことがわかっているということにつながってくるかもしれません。
しかし、実際はそれだけではありません。
自分の好み食事は何か、どんな野菜や果物が好きか・苦手か、どんな季節や環境の時に体調を崩しやすいか、ストレスを受けるとどのような影響が心や体におこるか……。
このように、人それぞれ個性があります。
自分の健康をはじめ、自分の得意なことや好きなことを知っていけば、それを基礎としてどのように社会に役に立てるかがみつかってくるはずです。
ぜひとも自分の得意なことを知りたいと思ったときには、一つの標準としてドーシャチェックを行ってみてくださいね。
もちろんその自分のものさしとなるものはアーユルヴェーダに限らず、中医学でも、タイ古式マッサージでも、心理テストでも、アドラーでも、野口整体でもなんでもよいです。
あなたに合うものを選んで、自分の理解度を高めるための方法を持っておくと便利ですよ。
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【体質診断】アーユルヴェーダで自分のドーシャチェック!
3、興味のある分野に飛び込んでみる
何事もやるまではわからないんですよね。
興味のある分野に飛び込んでみることも、一つの自分の人生を生きる上で必要な行動になってくるはずです。
例えば、私で言えばマッサージをやってきて、アーユルヴェーダにたどり着き、心理学を勉強し、そこからパソコンは初心者でもブログを立ち上げてみた……というところでしょう。
もし私が新卒の会社で働き続けていれば、この興味のある分野を実際に体験したり勉強することができなかったかもしれません。
このようにして、「自分はできないかもしれない」と思う恐怖の気持ちはおいておき、自分が人の役に立てるにはどの場面で自分を活かせるかと考えて何かにチャレンジしてみるとよいかもしれませんね。
何かに挑戦したいけれどちょっと怖い、背中を押してほしいということであれば、メルマガなどからいつでもお問い合わせくださいね。
4、瞑想をして自分の奥深くとつながっている感覚を得る
瞑想を日常にして、自分の奥深くとつながっている感覚を得ることは非常に重要です。
その感覚がわからなくても瞑想を続けてみると、メタ認知能力(自分自身の感情を客観的にみることができる能力)が鍛えられて、自分の感情に振り回されない状態になります。
さらに、精神的なストレスレベルも低下させてくれるといういいことづくしです。
アーユルヴェーダでは、食べ物は体の栄養、瞑想は心の栄養だともいわれています。
なので、瞑想をして悪いことは一切ありません。
仙人や賢者は瞑想三昧とまではいかなくても、日常で朝晩の瞑想を行うと心と体にとても良いですよ。
騙されたと思って、1週間やってみてください!
ダルマを知らなくても幸せに生きられる
「ダルマがわからない、どうしよう」「私はだめなのかも」と落ち込まないでください!
ダルマはあるとき「これが私のやることだ!」と奇跡のように天から恵まれて降りてくるのはものすごく稀です。
スピリチュアルでは「天から求められたから、これを始めた」というような人もいますが、それはおそらくセールストークでしょう。結局自分の適性をしっかりと見極めたうえで、自分でその道を選んだ結果です。
大いなる存在によって「お前の生きる道はこれだよ」と指示されるわけではないということは覚えておいてほしいと思います。
それというのも、自分の人生は結局自分で決めるしかないからです。そのためのツールとして、心身の健康や、瞑想、周囲の人との関係があるわけです。
なので、人生の目的を考えすぎずにいてほしいと思います。それよりも、興味や好奇心があるものに挑戦して、自分がどれだけできるのかという今を生きた方が結果としてその目的に気付けるはずです。
そのように、ほとんどの人は「なんか知らないけれど、こうなってた」と成り行きのままに進んでいることが多いものですから。
自分の心と体を整えていた結果、自分の好き嫌いや思考などに敏感になれて、自分にとってベストな選択ができたからと言えます。
なので、自分で都合よく自分の人生に意味づけをしちゃいましょう!
今回紹介した本