アーユルヴェーダで言われている、生理中や生理前のメンタルや体の乱れの理由について説明していきます。
この記事の内容
- 生理・生理前にしんどくなるアーユルヴェーダ的な理由
- 生理がしんどくならないアーユルヴェーダ的な方法
- アーユルヴェーダのすすめる生理中の過ごし方
生理中・生理前にしんどくなるアーユルヴェーダ的な理由
生理中や生理前にしんどくなるアーユルヴェーダ的な理由はずばり「ヴァータの乱れ」です。
女性の体はとても繊細で、ストレスによって月経にトラブルが怒ってしまうこともしょっちゅうです。
アーユルヴェーダでも生理痛や生理不順などについての記述がありますので、それをもとに解説をしていきます。
生理不順・生理痛は「ヴァータの乱れ」
生理不順・生理痛はアーユルヴェーダにおいて、ヴァータの乱れだといわれています。
ヴァータのみが乱れているときの生理は以下の様にアーユルヴェーダでは記述されています。
- 量が少ない出血
- 下腹部に痛みを伴う
- 頭痛がある
- 不眠の症状がある
- 体力がない
- 疲れた表情になる
- 性器が乾燥する
- 便秘がある
このような状態の生理の状態はヴァータが乱れている状態です。
おそらく忙しくしている多くの女性がこのような生理の状態に悩まされていることでしょう。
ヴァータが増えてしまうと、体の中の働きが正常でなくなってしまい、このような異常が発生します。
生理痛があるからといって痛み止めを飲んでも、生理痛を発生させる根本原因となるヴァータエネルギーを鎮静させなければ、ずっと薬を飲み続けることになってしまうわけです。
ヴァータエネルギーは、たとえば以下のようなことで増えてしまいます。
- 疲れすぎる
- 不規則な生活
- 夜更かしをする
- 精神的に疲れることをする
- 強い精神的なストレスを受ける
- 過剰な運動
- 過剰な性行為
- 誤った食事のしかた(食べ過ぎ、食事制限)
このような行動を多くしていると、その人の体質によってはすぐに生理痛が現れます。
なので、自分の生活のなかの間違いを見つけて、生理がしんどい状態をつくらない環境を用意してあげることが、アーユルヴェーダの実践です。
アーユルヴェーダを実践するといっても、誰もができる方法なので難しいことは何もありません。
ぜひとも読み進めていってもらって、少しでもいいので日常に生かしていってもらえたら嬉しく思います。
生理前症候群(PMS)は3つの種類がある
生理前にしんどいという話はよく聞きます。
これは、生理前症候群(PMS)と呼ばれていて、気持ちの浮き沈みが激しくなって、時には人間関係にも影響を及ぼすものです。
なので、あなたの体質と、あなたの生理前の精神状態を比較してみて、どれが影響を及ぼしているのか知っておくと良いでしょう。
それによって、対応する方法は変わってきますよ。
ヴァータ性の生理前のしんどさ
- 不安や恐怖心がある
- 抑うつ的になる
- 空虚感がある
- 感情の起伏が激しい
- 不眠になる
- 便秘になる
- 頭痛がする
- 月経時に下腹部が痛む
- ふらつきやめまいがある
- 皮膚が乾燥する
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ピッタ性の生理前のしんどさ
- イライラする
- 怒りが爆発しやすくなる
- 批判っぽくなる
- 下痢がある
- 口が渇きがちになる
- 発汗が多い
- 上半身によく汗をかく
- ニキビや発疹ができる
- 経血が多量で、赤い色
- 周期は短くなる傾向がある
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カファ性の生理前のしんどさ
- だるさがある
- 倦怠感がある
- センチメンタルになったりする
- なぜか涙が出る
- 愛されたいと思う
- 感情の起伏は激しくない(内側にこもる感じ)
- 食欲が低下する
- むくみがある
- 乳房が張る
- 周期が遅れがちになる
- 生理中は淡い経血、濃い粘液や凝血がある
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生理がしんどくならないアーユルヴェーダ的な方法
前章では生理がしんどい理由としてヴァータが乱れているからとお伝えしました。
それじゃあどうすればいいの?ということですが、ヴァータを整える生活をすることが大切です。
つまり以下の通りです。
- ヴァータを整える食事をする
- 夜更かしせず睡眠をしっかりとる
- 1日の流れを規則正しくする
- メタ認知能力を上げる
アーユルヴェーダは自分の持っている力を発揮するために、食事・生活・心のありかたを重要視しています。
なので、誰にでもできる実践方法なので、生理がしんどい、辛いと思っていたならぜひともやってみてほしいと思います。
それでは、生理がしんどくならないアーユルヴェーダ的な方法をお伝えしていきます。
ヴァータを整える食事をする
ヴァータを整える食事をすることが、生理を楽にする方法です。
ヴァータを整える食事は消化に良く温かく程よい油分があるもの。味としては、甘味・塩味・酸味です。
できるなら、その季節に食材を使った消化の良い日本食がよいでしょう。(日本で生まれ育った人は)
ヴァータには油でいためたものが良いとされますが、焼き魚でも旬のものは十分な脂がのっていることが多いので、そのまま食べても問題ありません。
問題なのは、ヴァータを整えるのは甘味や塩味だからといって、スイーツやチョコレート、ハンバーガーやポテトチップスなど、体をつくる栄養ではない嗜好品を食べてしまうことです。
これらは重い性質なので、ヴァータとは反対の性質ではありますが、オージャス(生命エネルギー)ではなくアーマ(毒素)になってしまう可能性があります。
特に、ヴァータで消化力が低い時に、脂分が多いものを食べると消化力が足りずにアーマになってしまいます。
アーマをなくして、体の巡りをよくさせることで、ヴァータは整い、生理もらくになってくれます。
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夜更かしをせず睡眠をしっかりとる
夜更かしをせずに睡眠をしっかりとることは、ヴァータを整えることに直結します。
睡眠・食事・運動は正しい体のバランスを作り上げます。
特に入眠時間が12時を過ぎてしまうと、8時間寝たとしても体はすっきりせずに疲れが残っている感じがあることがあります。
それは、体を修復してその一日をきれいに消化させる夜のピッタの時間(午後10時~午前2時)に睡眠をとれていないからです。
なので、同じ8時間寝たとしても、10時の入眠と12時の入眠では、体と心のコンディションが異なってくるのです。
疲れたと感じたら、スマホやテレビなどに夢中になれずにできるだけ早く寝るようにしましょう。
1日の流れを規則正しくする
1日の流れを規則正しくすることで、ヴァータは整います。
ヴァータのエネルギーというのは「不規則」という性質があります。
なので、日常の中で不規則な行動をとっていると、そのエネルギーが増えて結果的にヴァータが乱れ、生理がしんどい状態になるのです。
例えば、昼食の時間を毎回昼の12時と決めて食べるとか、寝る時間は遅くても11時には入眠するとか決めておきましょう。
時にそれが乱れてしまうことがあっても、毎回バラバラでない限り、体はそのバランスに合わせてしっかりとリズムを作ってくれます。
1日のリズムを規則的にすることで、毎月の生理のリズムも整ってきます。
メタ認知能力を上げる
メタ認知能力を上げることは、生理前や生理中のしんどいメンタルに飲み込まれない心を作り出せます。
メタ認知能力とは、自分を第三者視点から見ること、つまり客観的な視点を自分自身の行動に持っているかという能力のことです。
これは、訓練によって伸ばすことができる能力です。
精神的なストレスを感じたときには、これによって「自分自身の体験」と「自分の認知」を切り離すことによって、ストレスを軽減することができます。
メタ認知能力を上げる方法は、瞑想や認知行動療法、また簡単なもので言えば紙とペンで自分の気持ちを書きなぐるなどです。
「自分の心は、○○という物事に××のように感じている」というように心の中で思うことも、それにつながります。
これに関してはかなり長くなるので、また別のところでお話をしたいと思います。
まず、気持ちをペンとノートで書きなぐることをしてみてほしいと思います。それで「あ、自分こう感じてたんだ」と俯瞰してみることができるようになるはずです。
アーユルヴェーダのすすめる生理中の過ごし方
アーユルヴェーダのすすめる生理中の過ごし方は、女性が家にいることが前提のように書かれています。
しかし女性は実際に社会で活動をしてるので、アーユルヴェーダに沿って行動することはできません。
そこで、以下のようなエッセンスを踏まえて行動すると良いでしょう。
- 心も体も十分な休息をとる
- 昼寝は控える
- 軽い運動をする
- 性生活は控える
- 消化に良い食事をする
ちなみにアーユルヴェーダのすすめる生理中の過ごし方は、経典にあるものは非常に禁欲的です。
生理中の女性は性行動を避け、飾り立てるのをやめます。例えば、マッサージ、アイライン、香料、白粉、爪を切ること、宝飾品を身に着けることは避けます。女性は夫の姿を見ることさえ避けます。アヒンサー(非暴力)の掟を守り、瞑想をし、人々の幸福を願いつつ過ごします。自分を惨めな状況に置いたり、嘆き悲しむことは避けなければなりません。
身も心も休息をとりましょう。この時期は抵抗力が弱まっているので、人ごみに出ないで過ごします。食事にはバナナの葉か、素焼きか、傷のない金属製のものを皿として用います。体の負担になることは避けます。(以下略)
アーユルヴェーダ式育児学より
生理中の女性の心は揺らぎやすいということもわかっているので、このように心の持ちようのことまで書かれています。
それでは、現在で必要なアーユルヴェーダ式の生理中の過ごし方をひとつずつご紹介していきます。
心も体も十分な休息をとる
心も体も十分な休息をとることは生理中にとても大切なことです。
生理中は体の中の浄化といわれていて、普段の状態よりもエネルギーを使っているので疲れやすい状態です。
社会の中で生活しているとなかなか自分のペースで動くことはできないかもしれませんが、家に帰ったときにはゆっくりと体や心を休めてほしいと思います。
せめてこの期間だけでも、できるだけ体を動かすことや精神的なストレスを受けやすい環境から、少しでも遠ざけるようにしましょう。
また、この時に自分自身のことを貶めるような心の働きはしてはいけないとも言われています。
「自分てなんてダメなんだろう」と思ってしまったときには、自分自身を親友と思って「大丈夫、私はこれでOKだよ」と言ってあげるようにしましょう。
注意ポイント
五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の使い過ぎも「体を使うこと」になるので要注意です。
恐ろしいことを見たり聞いたりする、スマホやパソコンでずっと目を使う、体が驚くような大きな音を聞く、マッサージを受けすぎる、食べ過ぎる、アロマを使いすぎるなどもこれにあたります。
普段よりもその刺激を少な目にするように心がけてみましょう。
昼寝は控える
生理中は体がだるくなって眠くなるかもしれませんが、昼寝は控えるようにしましょう。
その理由は、昼寝をするとカファが増えてしまい、体全体の流れが停滞してしまうからです。
それによって、オージャス(生命エネルギー)の通路をふさいでしまう可能性があります。
ただし、普段から心身を酷使しすぎて生理痛がひどい場合には、体が「とりあえず休んで」とサインを出している可能性があるので、そういう場合にはゆったりとした座椅子で休んだ方がよいでしょう。
軽い運動をする
軽い運動をすることで、体全体の「動き」のエネルギーが上がります。
それによって月経血を外に排泄する働きが高まり、体の調子を整えてくれます。
また、体を動かすことによって体が温まり、ヴァータが抑制されるのも利点です。
股関節からしっかりと地面をしっかりと踏み込んで歩くようなウォーキングなどがおすすめです。
ただし、逆立ちや肩立ちは経血を逆流させてしまって、ヴァータを乱すことになるのでやらない方がよいでしょう。
性生活は控える
性生活を整理中にすると、アパーナ・ヴァーユの流れを乱すと考えます。
アパーナ・ヴァーユとは、ヴァータのサブドーシャのことで、排せつなどを行う下方へのエネルギーのことです。
これがさえぎられるとヴァータの乱れにつながるので、生理中の性生活は控えた方がよいとアーユルヴェーダではいわれています。
現代医学でも月経血が逆流して子宮内膜症を悪化させたり、月経中の繊細な体に傷がついて性感染症になる恐れもあるといわれています。
なので、生理中は性生活は控えておいた方がよさそうです。
消化によい食事をとる
消化によい食事をとることで、ヴァータを整えることができます。
生理中はヴァータエネルギーがどうしても高まってしまうので、温かく消化によい適度に油分のあるものを食べるようにするのがよいとアーユルヴェーダではいわれています。
ファストフードやスイーツ、辛いものやラーメンなどの脂っこいものはアーマになってしまう恐れがあるので、避けるようにしましょう。
注意ポイント
生理前には甘いものやしょっぱいものが食べたくなる人もいるはずです。
これは消化器官系にアーマ(毒素)が蓄積してしまって、栄養を欲しているからです。
そんな時には、塩味のものをとってみると、甘味への欲求が抑制されるはずです。
また、ダイエットのために十分な食事を普段からとらないでいると、それによってヴァータが乱れてしまい、月経トラブルなどになる可能性もあります。
食べ物はしっかりと体と心のためにとってあげましょう。
生理でしんどい時には無理しない!
アーユルヴェーダでの生理がしんどい時の対応方法は、ざっくりいえば「無理をしない」ということ。
現代社会では、生理痛などに少しずつ理解が増えてきましたが、今でも生理のときに鎮痛剤を飲んで体にムチを打って働いている人も多くいます。
どうしても仕事中や家事・育児中はそれをしなくてはいけなかったとしても、できるところで自分の心と体を休めるようにしてみてくださいね。
「これくらい大丈夫」という無理は禁物です。
生理痛や生理不順はアーユルヴェーダでは病気に分類されてしまうのですから。
体のバランスを整えて、生き生き生活できるようにアーユルヴェーダを実践してみてくださいね。