アーユルヴェーダのトリドーシャと6味を知っておけば、病気になる前段階の未病の状態で体と心のバランスを整えられます。
6つの味がどのような影響を体に与えるのか知って、日常に応用していきましょう。
この記事の内容
- アーユルヴェーダの6味とは?
- 各味(甘、酸、塩、辛、苦、渋)のドーシャの影響と食材
※食事の基本的なことについて知りたい場合はこちらの記事もご覧ください。
すべてのドーシャに通じることを説明しているので、この記事を読んだ方が理解度が深まるはずです。
アーユルヴェーダの6味とは?
アーユルヴェーダの6味:甘味、酸味、塩味、辛味、苦味、渋味
アーユルヴェーダには6味(ろくみ)という概念があります。
上記のように、私たちが普段食べたときに感じる味覚のことです。
さらに、6味にはそれぞれに元素(空・風・火・水・地)が存在して、トリドーシャにも影響を及ぼしています。
つまり、私たちの肉体、精神、情緒の安定などに影響を与えるのです。
そのため、それぞれの味の特性を理解して、普段の食生活にこの考えを取り入れてあげると、自分の体のバランスを維持しやすくなります。
6味とトリドーシャの関係
アーユルヴェーダにおいて、トリドーシャと6味はざっくり言うと以下のような関係になっています。
6味とトリドーシャの関係
- 甘味:ヴァータ↓、ピッタ↓、カファ↑
- 塩味:ヴァータ↓、ピッタ↑、カファ↑
- 酸味:ヴァータ↓、ピッタ↑、カファ↑
- 苦味:ヴァータ↑、ピッタ↓、カファ↓
- 渋味:ヴァータ↑、ピッタ↑、カファ↓
- 辛味:ヴァータ↑、ピッタ↓、カファ↓
※↓は鎮静(乱れを治す)・↑は増加(乱れさせる)を意味します。
注意書きにあるように、「↑」はそれぞれのドーシャを上げるもの、「↓」はそれぞれのドーシャを下げるものです。
例えば、ヴァータドーシャが増えるような食生活や習慣をしていると、体の中にヴァータが増えてしまい、ヴァータ性の疾患に陥るというようなものです。
その状態をよくするためにはヴァータのレベルを下げることが必要です。
つまり、上記の味をドーシャの関係性を知っておくことで、自分の状態を改善するための対策がとれるというわけです。
ただし、これは口の中に入れたときの味であるため、すべてを説明したことにはなっていません。
食事に関する味に関しては、死さらにもう少し踏み込んでお話をしていく必要があります。
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アーユルヴェーダの病気の段階は6つある!健康までの細かい道
健康な人は6味全てをバランスよくとるべし
健康な人は6味全てをバランスよくとってあげると良いという風に言われています。
その中で、自分のどのドーシャバランスが今乱れているのかを判断して、食事の時に味を調整してあげるのが手っ取り早く簡単にできるアーユルヴェーダ実践方法です。
今回の記事で紹介している食べ物も、あなたのドーシャの乱れによって合う合わないがあるはずなので、たくさん試してあなたの中でケーススタディを増やしていってくださいね。
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ヴァータ・ピッタ・カファ(カパ)各ドーシャの消化力(アグニ)は?【アーユルヴェーダ】
食べ物の消化での作用
アーユルヴェーダでは、食べ物が人体に影響を与えるのには3つの段階があるといわれています。
最初にお伝えした通り、6味は最初に口に入れたときの味だけを指すものではありません。
アーユルヴェーダにおける「味」は消化の段階や老廃物の生成、体の構築ともちろん関連があり、食べ物の味がどの場面でドーシャに影響を与えるのかをわかりやすくしています。
それはざっくり以下の通りです。
- ラサ(味):6つの味「甘味・酸味・塩味・辛味・苦味・渋味」がある
- ヴィールヤ(薬力源):「熱性」「冷性」がある
- ヴィパーカ(代謝後の味):「酸」「辛」「甘」の味
ラサは口の中で最初に感じる味です。
ヴィールヤはその食べ物が体内で分解・消化されることによって体内に及ぼす影響を「熱」と「冷」で表しています。
体を温める食べ物と冷やす食べ物という概念はこれに該当します。
3つ目のヴィパーカは代謝後の味です。これによって、食べたものがどのドーシャバランスを乱すのかがわかります。
これについては以下の記事で詳しく説明しています。気になる方・もっとアーユルヴェーダのことについて理解したい方は、読んでみてください。
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ラサ、ヴィールヤ、ヴィパーカについて【アーユルヴェーダの消化】
アーユルヴェーダの6味①甘味(マドゥラ)
- ラサ(6味):甘味
- ヴィールヤ(薬力源):冷性
- ヴィパーカ(消化後の味):甘味
甘味には上記のような性質があります。
甘味に分類される食べ物は、私たち生物が生きていくうえで必要不可欠なエネルギーになるものばかりです。
甘味のドーシャへの影響
- ヴァータ ↓↓
- ピッタ ↓
- カファ ↑↑↑
甘味を食べることによってカファを増大し、ピッタとヴァータを鎮静します。
すると、体の筋肉や骨格などの組織にエネルギーを与えて大きく強化したり、肌色や髪、感覚を整えるのに役立ちます。
満足感や幸福感を与えてくれるのも甘味です。
一方でカファを増やすので、とりすぎると肥満や消化不良、糖尿病、腫瘍などをもたらすことがあるといわれています。
甘味のある食材
- 穀類(米、小麦、大麦、ヒエ、粟など)
- 芋類(ジャガイモ、サツマイモ、サトイモなど)
- 乳製品(牛乳、バター、ギー)
- 熟した果物(バナナ、マンゴー、桃、ブドウ)
- 甘味のある野菜(かぼちゃ、ニンジンなど)
- ナッツ類(アーモンド、クルミ、松の実、ココナッツなど)
- 砂糖
- ハチミツ(特異作用をする:冷性なのでカファを増やさない)
- 肉類
- 魚類
- 油類
アーユルヴェーダの6味②酸味(アムラ)
- ラサ(6味):酸味
- ヴィールヤ(薬力源):熱性
- ヴィパーカ(消化後の味):酸味
酸味には上記のような性質があります。
酸っぱい食べ物は生物としては腐った食べ物として嫌厭される一方、食べ物の味としては多く存在します。
酸味のドーシャへの影響
- ヴァータ ↓
- ピッタ ↑↑↑
- カファ ↑
酸味のはピッタとカファを増大させ、ヴァータを鎮静させます。
この時に特に影響があるのがピッタです。
酸味はアグニ(消化力)を増やします。
なので、食欲を上げたり消化を助けるのはもちろんのこと、大腸のヴァータエネルギーが滞っているときには、これを摂取して、下方向への動きを促進して排せつを促します。
酸味は胃酸と同じ酸性ですので、アグニが増えるということは同じ性質が多くなる法則にのっとっても説明できますね。
ただし、とりすぎることによって、イライラしやすくなる、体力を消耗する、めまい、皮膚のトラブル、のどの渇き、ピッタ性の疾患などに陥りやすくなります。
酸味のある食材
- アムラ
- 柑橘類(レモン、ライム、ミカン、オレンジなど)
- 酸味の強い乳製品(チーズ、ヨーグルト)
- 酢
- 梅干し
- 発酵食品(キムチ、漬物類、ヨーグルト)
- トマト
- 未熟の果物類(すっぱい果物)
アーユルヴェーダの6味③塩味(ラヴァナ)
- ラサ(6味):塩味
- ヴィールヤ(薬力源):熱性
- ヴィパーカ(消化後の味):甘味
塩味は上記のような働きをします。
「敵に塩を送る」という言葉がある通り、生物が塩(ミネラル)が無いと生きていけません。
ちなみに塩と食べ物を一緒にいただくと食べ物がおいしく感じられます。
塩味のドーシャへの影響
- ヴァータ ↓↓↓
- ピッタ ↑↑
- カファ ↑↑
塩味のドーシャへの影響は、ピッタとカファの増大と、ヴァータの鎮静です。
スロータス(体の中にある管)や気候の閉塞を解消させることができるのも塩味です。
また、消化を促進させるうえ、胃液や唾液などの消化に関する体液や潤滑液の量が多くなって発汗を促します。
細胞のイオンチャネルに必要不可欠なものです。
ただしとりすぎると、はげや白髪、しわ、のどの渇き、皮膚疾患、血液疾患、むくみ、体力の消耗を引き起こします。
塩味のある食材
- 海塩
- 岩塩
- 醤油
- 味噌
- 海藻類(わかめ、昆布など)
- 塩類を使った料理
アーユルヴェーダの6味④辛味(カトゥ)
- ラサ(6味):辛味
- ヴィールヤ(薬力源):熱性
- ヴィパーカ(消化後の味):辛味
辛味は上記のような作用があります。
辛いものは現代科学で言えば味覚ではなく痛覚ですが、これによって体内では多くの刺激を受けます。
辛味のドーシャへの影響
- ヴァータ ↑
- ピッタ ↑
- カファ ↓↓↓
辛味はヴァータとピッタを増大させ、カファを鎮静させます。
辛味のあるものを食べることによって、空腹感が増す、消化が良くなるなどの影響があります。
また、刺激があるために目や鼻、口からの分泌をもたらします。
かたい塊を分解し、スロータス(体の管)を拡張させることも働きのひとつです。
ただし、とりすぎは喉の渇き、生殖組織の消耗、拘縮、震え、腰や背中の痛み、ヴァータ性やピッタ性の疾患をもたらす恐れがあります。
辛味のある食材
- 玉ねぎ
- ネギ
- ニンニク
- ショウガ
- 香辛料(トウガラシ、ヒハツ、コショウ、オールスパイスなど)
- 大根
- からし、わさび
アーユルヴェーダの6味⑤苦味(ティクタ)
- ラサ(6味):苦味
- ヴィールヤ(薬力源):冷性
- ヴィパーカ(消化後の味):辛味
苦味は上記のような作用があります。
苦味のある食べ物は好んで食べるものではありません。
その理由は毒であることが多いからです。
しかし、毒も少量なら薬理作用をもたらしますので、一緒に食べると良い味のひとつです。
苦味のドーシャへの影響
- ヴァータ ↑↑↑
- ピッタ ↓↓
- カファ ↓↓
苦味はピッタとカファを鎮め、ヴァータを増大させます。
脂肪や筋肉、便、尿から水分をなくすといわれてるので、体に水分が多くなっている状態の時に食べるとバランスをとれます。
食欲不振やのどの渇き、皮膚病、熱、吐き気、ひりひり感を鎮静させるのに良いとされます。
ただし、とりすぎると体力の消耗やヴァータ性の疾患を引き起こす可能性があります。
苦味のある食材
- 緑色野菜(ピーマン、ゴーヤ、ほうれん草、小松菜、セロリ、コリアンダーなど)
- ターメリック(ウコン)
- コーヒー
- 青汁
- 春の山菜(ぜんまい、うど、ふきのとう、わらびなど)
- たけのこ
- あしたば
アーユルヴェーダの6味⑥渋味(カシャヤ)
- ラサ(6味):渋味
- ヴィールヤ(薬力源):冷性
- ヴィパーカ(消化後の味):辛味
渋味は上記のような作用があります。
渋みは単独でいただく味ではありませんね。しかし、体への影響は良いことがもちろんあります。
渋味のドーシャへの影響
- ヴァータ ↑↑
- ピッタ ↓↓↓
- カファ ↓
渋みはヴァータを増やし、ピッタとカファを下げます。
これによって、血液をきれいにしたり、潰瘍の回復を促したり、体内の水分や脂肪を減らすといったことが期待されます。
とりすぎると、水分を多く吸収してしまうので、便秘の原因になる可能性もあります。
また、未消化物の食べ物の停滞や、心臓付近の痛み、やつれ、精力減退などがあるので取りすぎには注意です。
渋味のある食材
- 熟していないバナナ
- 渋柿
- ザクロ
- 豆類(ひよこ豆、緑豆、レンズ豆など)
- ナシ
- リンゴ
- ブロッコリー
- カリフラワー
- お茶類(緑茶、紅茶)
- そば
- ライ麦
6味を知っておけばアーユルヴェーダをいつでも実践できる
ラサ(6味)がどのようにドーシャに影響を及ぼすかはとても興味深いですね。
これを知っておけば、普段料理を作るときにも、季節や体調に合わせた食事を作ることができるはず。
なんといっても良いところは、「味」なので自分の味覚でどのような食事を作ればいいかわかるところです。
健康な人は6味を入れながら、自分の体質に合わせて甘味、苦味、辛味などを調整してあげれば、立派なアーユルヴェーダの実践です。
今回の食材なども加味しながら、ぜひともあなたの体にぴったり合った食事を食べるようにしてくださいね。