ヴァータ・ピッタ・カファ(カパ)のそれぞれのアグニ(消化力)について細かく紹介していきます。
この記事の内容
- アーユルヴェーダの消化力とは?
- ヴァータ体質・増加時の消化力
- ピッタ体質・増加時の消化力
- カファ(カパ)体質・増加時の消化力
アーユルヴェーダの消化力(アグニ)とは?
私たちが普段考える「消化力」とアーユルヴェーダで使われる「消化」は、少し概念が異なります。
消化力の言葉の概念や、どのように変化するのかをここでは説明していきます。
アーユルヴェーダの消化は「消化~排せつ」の行程
アーユルヴェーダの消化は、ただ単に食べ物を胃で分解することを指すのではありません。
アグニは口に入った食べ物が消化器官で分解され、体に栄養として取り込まれ、その時に出たゴミがしっかりと体外へ排せつさせるという、全行程を表しています。
食べたものを消化するだけではなく、体全体のバランスを保つためには体内に老廃物をしっかり排せつをしてあげることも大切です。
それゆえ、アーユルヴェーダでは消化力を、口に食べ物を入れてから排せつまでの行程と考えているわけです。
消化力(アグニ)は体の中で変化・精製していく働きをしています。
それは、食べ物を胃腸で消化吸収すること、細胞の形質変換、感覚や精神的な経験を受け入れることなど多岐にわたります。
「この気持ちを消化できない」という言葉があるように、気持ちを受け入れられない精神状態もアグニという言葉が使われます。
ドーシャタイプ(体質)・バランス(状態)によって変わる
アグニはドーシャタイプ(体質)やその時々のドーシャバランス(心と体の状態)によって変化するものです。
その時のあなたの本来持っている体内のバランス、つまり生まれ持ったヴァータ(風)・ピッタ(火)・カファ(水)のトリドーシャバランスが整っている状態であれば、消化力は正しく作用し、体内に取り込んだものはオージャス(活力素)となってくれます。
しかし、ドーシャバランスが乱れている状態だと、その影響で消化力にも乱れが生じ、本来ならオージャスとなるべきものがアーマ(未消化物)となってしまうことがあるのです。
このように消化力に影響を及ぼすのは、もともと自分が持っているドーシャタイプによるものや、環境によるバランスの乱れです。
コラム:アグニの例え話
アーユルヴェーダのアグニに関しては飯盒炊爨でよく例えられます。
風・火・水のバランスがちょうど良い状態だと、飯盒の中のごはんがおいしく炊けます。
しかし、風が強すぎると火が小さくなり、うまく米が炊き上がりません。
火が強くても、飯盒の中のごはんは焦げてしまいます。
水が多いと、ごはんはベトベトになってしまいます。
せっかく食事をするなら、美味しいごはんをいただきたいですよね。
美味しいごはん=オージャス(活力素)なので、あなたを元気にしてくれるもとです。
良い循環をつくるためにも、アーユルヴェーダでは普段から自分のドーシャバランスを整えてあげようといっているわけです。
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アグニって何?消化力アップの方法も解説【アーユルヴェーダ】
アグニ(消化力)は「時間」によって変化する
アグニ(消化力)は時間によって変化します。
その「時間」というのは、1日の中の時間や、季節、年齢といったものです。
例えば、一日の中で一番消化力が高いのは昼です。
昼(午前10時頃~午後2時頃)はピッタの時間だからです。
アーユルヴェーダで1日のメインの食事を昼にとると良いといわれるのもこの理由からです。
次に消化力が高いのが夕方、次に朝です。
なので、夕食にがっつり食べるよりも、昼にがっつり食べて、夕食は少し控えめに、朝は消化の良いものを食べるといった流れが一番自然な流れと言われています。
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【アーユルヴェーダ】食べ物を選ぶ上で大切なことは?全体質向け
ヴァータ体質・増大時の消化力
ヴァータ体質の人は、トリドーシャの中でも一番消化力が低いと言われています。
また、ヴァータ体質の人はヴァータが増大しやすく、消化力は不規則になりがちです。
このときの状態をヴィジャーマアグニといいます。
もちろんヴァータ体質でなくても、ヴァータが増大している状態ならヴィジャーマアグニの状態になってしまいます。
この状態は消化力は不規則になっているため、便秘や下痢を繰り返したり、食欲不振をおこしやすくなります。
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ヴァータ(風)の性質は?性格的・身体的特徴を解説!【アーユルヴェーダ】
ヴァータ体質のアグニに応じた1日の食事
ヴァータ体質の人や、ヴァータ増大した時の1日の食事はこのようなものがおすすめです。
ヴァータが乱れているときには、人と話して食べたり、落ち着いて食べられない状態になっていることがあります。
そんな時こそ、一人だけでじっくりと座って食べられる環境を用意して、スマホはカバンにしまい、食事に集中していただきましょう。
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ヴァータ体質・増大時に向いている食事と方法【アーユルヴェーダ】
朝の食事:消化力「小」
朝は軽めでしっかりと火が通っていて消化の良いものをいただきます。
- 軽い食事
- 温かい食べ物
- おかゆ、おじやなど
昼の食事:消化力「大」
一日のメインの食事にしましょう。
このときに、以下のものをとるようにします。
- 温かい食べ物
- 程よく油性のもの(乾燥していないもの)
- 重めのもの(水分が含まれている、カロリーがあるもの)
- 甘味、酸味、塩味の食べ物を多めにする
夕方の食事:消化力「中」
- 温かいもの
- 甘味、酸味、塩味の食べ物を多めにとる
- 昼よりも軽めで、寝る前にはお腹がある程度軽くなる程度の量をとる
夜の食事:消化力「微小-」
夜にお腹がすいてしまったときには、固形物は食べないようにしましょう。
以下のものを口にしてあげると空腹が紛れて消化によいです。
- 温めた牛乳
- 温めた豆乳
- 上にショウガやギーなどを混ぜて飲む
ピッタ体質・増大時の消化力
ピッタの消化力はトリドーシャの中で一番高いです。
ピッタ体質の人はピッタが増大しやすく、消化力は強烈になりやすい傾向があります。
このときの状態をティークシャナアグニといいます。
ピッタ体質でなくてもピッタが増大している状態ではティークシャナアグニの状態になってしまいます。
この状態は消化力は通常よりも強くなっているため、突然お腹を下してしまうことがあります。
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ピッタ(火)の性質は?性格的・身体的特徴も解説!【アーユルヴェーダ】
ピッタ体質のアグニに応じた1日の食事
ピッタ体質の人やピッタが乱れがちな人にオススメな食べ物を紹介します。
ピッタの人は食べることが好きで、食べないとイライラしてしまいがちです。
なので、しっかりおなかを満たしながら、その時にお腹を下しやすいものを摂取しすぎないようにしましょう。
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ピッタ体質・増大時に向いている食事と方法【アーユルヴェーダ】
朝の食事:消化力「小」
ピッタが乱れているときには、できるだけ胃に負担をかけないような食事をするようにします。
- 軽い液状食(ポタージュやミキサーにかけた野菜スープなど)
昼の食事:消化力「大+」
- 冷性の食べ物(ウリ類、乳製品など)
- 甘味、苦味、渋味の食べ物を少し多めにする
- 辛いものは控える
注意ポイント
冷性というのは性質のことで、温度が冷たいというわけではありません。
夏や暑い環境にできる食べ物は体を冷やす性質があるので、それを常温などで摂取するようにしましょう。
アイスクリームをほおばるなどして体を冷やしすぎないようにしてくださいね。
夕方の食事:消化力「中+」
- 甘味、苦味の食べ物を多めにとる
- アルコールやカフェインは控える
- 辛いものは控える
夜の食事:消化力「微小+」
- 温めた牛乳
- 温めた豆乳
- 上にショウガ、ギーなどを混ぜて飲む
カファ(カパ)体質・増大時の消化力
カファの消化力はトリドーシャの中で中程度で、遅い傾向があります。
ほかの体質同様、カファ体質の人はカファが増大しやすく、消化力は緩慢になりやすい傾向があります。
このときの状態をマンダアグニといいます。
カファ体質でなくてもカファが増大している状態では、マンダアグニの状態になってしまいます。
この状態は消化力はゆっくりになっているので、重く太いどっしりとした便が出る傾向にあります。
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カファ(カパ・水)の性質は?性格的・身体的特徴も解説!【アーユルヴェーダ】
カファ(カパ)体質のアグニに応じた1日の食事
カファ(カパ)体質の人や、カファが乱れがちな人におすすめな食事をご紹介します。
カファが乱れるときには、おなかがすいていると感じられなくなったり、おなかが重い感じがするはずです。
その時には、食事は全体的に軽めにして、さらに間食は控えるようにしましょう。
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カファ(カパ)体質・増大時に向いている食事と方法【アーユルヴェーダ】
朝の食事:消化力「小-」
- 朝食は抜く(朝お腹がすいていないときは食べない)
- 温かい液状食
- お茶(ターメリックやショウガなどのスパイスティーもOK)
- ハチミツレモンドリンク
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【アーユルヴェーダ】カファ(カパ)にはコーヒーが良い?
昼の食事:消化力「大」
- 乾燥性の食べ物を増やす(トウモロコシ、じゃがいも、豆類など)
- 軽性の食べ物を増やす(大麦、ほうれん草、リンゴなど)
- 辛味、渋味、苦味の食事を多めにとる(野菜多め)
- 腹6~8分目の分量を食べる
夕方の食事:消化力「中」
- 温かい食べ物を食べる
- 乾燥性の食べ物を増やす
- 軽性の食べ物を増やす
- スパイスを入れる
夜の食事:消化力「微小-」
- お白湯(遅くても入眠3時間前には食事は終わらせる)
カファは胃腸の働きがゆっくりなので、夜はカロリーのあるものは口にしないでおきましょう。
何か食べたい気持ちはミントガムなどでまぎらわし、数日がんばって我慢すれば体は慣れます。
自分の体の状態にあった消化力を理解しておこう
自分の体質を理解しておくと、自分に合った食べものを選ぶことができます。
「ヴァータタイプだから、○○がいい!」といわれてそれを試しても、実際に自分の体に合わないということもしばしばあります。
それは、ヴァータタイプであると同時に、そのときのドーシャバランスの消化力に合っていないということが、体に合わない要因であることもあります。
体のバランスが違えば、同じものを食べたとしても感じ方は全く異なります。
なので、「○○がいい」という言葉を聞いて試してみたとしても、自分の体の状態に耳を傾けることを忘れないようにしてみてほしいと思います。
自分の体の状態をなんとなくでも理解できていると、これを応用してさらに自分に合った食べ物や食べ方が見つけられるはずです。
まずは、自分のおおまかな体質を知って、それに合う食べ物や食べ方を調べてみましょう。
そこから、どのようにすればいいのか、あなたなりの方法が見つかってくるはずですよ。
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