体がだるい時や眠い時、気持ちにハリがないときは、カファ(カパ)が増えてしまっている状態です。それを解消するためにコーヒーを飲む人は多くいると思います。
でも、それでも効果が一時的だったり、コーヒーの摂取のし過ぎで体調を崩してしまったりということもありますよね。
この記事の内容
- カファ(カパ)体質にはコーヒーが良いのは本当?
- コーヒー以外にカファ(カパ)を鎮静させる飲み物
- コーヒー以外にカファ(カパ)を鎮静させる方法
カファ(カパ)体質にはコーヒーが良いのは本当?
カファ体質にコーヒーが良いといわれれるのは本当です。
ただし、コーヒーは万能で良いというわけではありません。
その理由をコーヒーの性質とカファの性質を説明しながら見ていきましょう。
コーヒーはカファ(カパ)を鎮静させる
コーヒーはカファを鎮静させてくれるので、カファの増大が原因で引き起こされる眠気やだるさ、むくみなどによいといわれています。
その理由は「コーヒー=刺激物」だからです。
カファは「止」「静」などの性質があるので、コーヒーはカファと相反する性質があります。
アーユルヴェーダでは、性質が同じものはその性質を増やし、反対のものはその性質を減少させる(鎮静させる)という法則があります。
つまり、カファが増大してしまった状態である「だるさ」や「気持ちの落ち込み」は「止」や「静」なので、それの反対である「刺激」や「動く」という性質を持つコーヒーによって、カファのレベルを打ち消しているというわけです。
アーユルヴェーダにおいてコーヒーは毒性がある
アーユルヴェーダにおいて、コーヒーは毒性があるといわれています。
「毒性」といっても、食べてしまったら一瞬にして命にかかわるほど危険なものかというとそうではありません。
アーユルヴェーダにおいて「毒」というとアーマ(未消化物)のことを差します。
このアーマは体の管(消化器や血管、神経管など体にあるすべての管のこと)に堆積して、ドーシャ(ヴァータ・ピッタ・カファなどの体のエネルギーバランスのこと)を乱し、病気を誘発してしまいます。
コーヒーは誰もが知る通り、刺激物です。
飲めばだるい気持ちが吹き飛び、心拍数が増加し、水分代謝が活性化され、やる気がみなぎってくる感じがしますよね。
しかし、一方でコーヒー中毒というように、飲むと動悸が強くなり、手や体の震え、頭痛、下痢などがもよおされることがあります。(私もコーヒー1杯でこのようになる体質です)
集中力を上げてくれるコーヒーも、このように体的には毒になる成分が入っています。
また、コーヒーをはじめとするカフェイン飲料は「元気の前借」と言われるものでもあります。
コーヒーを摂取することで元気になる理由は、カフェインの物質がアデノシン(疲労感を感じさせるホルモン)の受容体に似ているため、アデノシンに代わって受容体と結合します。
つまり、カフェイン接種によって「疲れたからちょっと休もう」と言っている体の状態を無視して、体を休めることなく強制的に元気にしているということです。
アーユルヴェーダ式のコーヒーの毒性を中和する方法
アーユルヴェーダにおいて、コーヒーは毒物であるといわれていますが、もちろんコーヒーは科学的にアルツハイマー病などの疾患を軽減させるメリットもあることも事実です。
そして、ここぞというときにコーヒーを飲んで集中力を高めたいという人もいるはずです。なので、コーヒーの毒性を中和する方法を知っておきましょう。
中和するもの⇒ナツメグとカルダモン
アーユルヴェーダでは、ナツメグとカルダモンの粉を混ぜたものを一緒に摂取するとコーヒーの生態系の刺激作用と抑制作用が緩和されます。
カルダモンとミルクを入れて飲むと、コーヒーのカフェインが解毒されるといわれています。
フレーバーコーヒーのように、カルダモンのパウダーとミルクを入れて、混ぜてみるとさわやかな香りと一緒にコーヒーを味わうことができますよ。
アーユルヴェーダで毒性があるといわれるもの
今回はコーヒーを紹介しているので、その毒性などをお話していますが、私たちが普段食べているものでももちろん毒性があるといわれるものがおおくあります。
例えば、以下のものもそうです。
- チーズ(カファ・ピッタを悪化)⇒こしょう、トウガラシ、チリコショウなどで緩和
- 魚(ピッタを悪化)⇒ココナッツ、ライム、レモンと一緒にとると良い(地中海料理でレモンと一緒に出されますね。)
- トマト(カファを増やす)⇒ライムやクミンと一緒に食べることで緩和
- スイカ(水分貯留を起こす)⇒チリコショウと塩を混ぜたもので緩和
このように、普段から食べるものにもアーユルヴェーダでは毒性があるといわれます。
まだまだほかにもたくさんありますが、食材すべてに毒があるというわけではなく、食べ合わせや自分の体のコンディション、季節などの影響が多くあります。
なので、食べるのを禁止するのではなく、食べたいものをどのように食べればよいかを考えるために使ってみてほしいと思います。
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アグニって何?消化力アップの方法も解説【アーユルヴェーダ】
コーヒー以外のカファ(カパ)を鎮静する飲み物
コーヒーが根本からカファを解決しないのなら、それに代わって普段から飲めるカファを整えるものはないの?という疑問に当たりますよね。
もちろんあります。ざっくりあげると、以下のものがカファを整えてくれます。
- お白湯(さゆ)
- 熱いお茶
- ジンジャーティー
- チャイ(スパイスティー)
それでは、ひとつひとつご紹介していきます。
お白湯(さゆ)
アーユルヴェーダをやる人は知らない人はいないお白湯ですね。
お白湯は火と水のエネルギーを持っているので、水分補給はもちろんのこと、体を温めてくれる上に消化力も上げてくれます。
消化力が上がると、食べ物を消化する能力があがるため、アーマ(毒素)が蓄えられることなくしっかりと排せつされます。
これを続ければデトックスに役立つうえ、基礎代謝を上げてくれたり、体温の向上、そして免疫力の向上など様々なメリットがあります。
水とやかんさえあれば簡単にできるので、ぜひとも生活の一部に取り入れてみてくださいね。
白湯の作り方
- 10分以上沸騰させて塩素を飛ばす
- 快適な温度に冷まして少しずつ飲む
※昔の方法で「もともとの水が半分~1/4に減るまで煮詰める」ということもありますが、現代の水はそこまでしなくても問題はないといわれています。
熱いお茶
熱いお茶はカファを鎮静するのにちょうど良い飲み物です。
日本茶はほんのりとした渋みがあります。この渋みはカファを下げるのにぴったりです。
紅茶も渋みがあるので、カファを下げるのに良いですが、私たちは日本で生まれ育っているので、緑茶のほうが体との相性が良いといわれています。
また、熱いものを飲むことでカファの「冷たい」という性質の反対を摂取することになるので、バランスがとれるというわけです。
しかし、真夏の場合には体の状態を観察したうえで熱いものを飲むようにしてくださいね。
ハチミツレモンドリンク
カファの人でも取ってよい特別例外の甘いものは「ハチミツ」!
特に、ハチミツは加熱加工されていないものを加熱せずに利用することで、本来持つ抗菌作用とビタミンCをそのまま摂取することができます。
レシピ
- 40度以下の湯冷まし(冷ましたお白湯)を200mL用意する
- 生はちみつを大さじ一杯、レモンを1スライスしぼり入れる
- 混ぜて完成(夏は氷を入れてもOK)
こんなに簡単なのに、おいしくさらにカファを整えられるならもってこいです。
デスクワークの人は、引き出しにこっそり自分用のハチミツを忍ばせておきましょう。
チャイ(スパイスティー)
チャイやスパイスティーは、カファを整えるのに良い飲み物です。
体が冷えがちな人が、スパイスティーやチャイを飲み始めたら、基礎体温が上がったとか、便通が良くなったとか、胃もたれがしなくなったなど、嬉しい報告がたくさんありました。
なので、とりあえずカファを整えるのに何か代替品がほしいあなたは、スパイスティーを試してみるといいでしょう。
いろいろな種類がありますが、私がのんで美味しいと思ったものを以下に挙げておくので、ぜひ試してみてくださいね。
コーヒー以外にカファ(カパ)を鎮静する方法
コーヒーを普段から飲むことでカファを鎮静させることはできますが、これが体内のカファのバランスを常に整えてくれるかというとそれは違います。
というのも、コーヒーのカフェインは刺激物なので、飲んだときには強制的に活発になったり集中力が高まっています。
つまり、この活発さは表面的で、自分自身の体の中のカファバランスが全体的に下がったということは言えないわけです。
なので、本当に自分の中のカファバランスを整えたい・鎮静したいというときには、以下の様に日常の生活の中でカファを鎮静させる行動や食べ物を摂取していくことが大切です。
- 運動する
- 新しいことをする
- 「苦・渋・辛」の味の食事をとる
- スパイスを摂取する
- 温かい食べ物を食べる
それでは、一つずつカファの性質をなぞらえながら説明していきます。
運動をする
運動することは、カファのレベルを下げるのにもっとも適している方法です。
カファの性質は「止まる」「重い」「遅い」などなので、運動のによって「動く」「軽い」「速い」という性質をとりいれてあげると一気に活発になることができます。
カファの人は出不精でなかなか行動を始められない側面がありますが、運動の習慣をつけてあげるとトリドーシャのタイプの中では最も体力があり、健康を維持しやすいタイプであるといえます。
なので、毎日早歩きで散歩をしたり、サイクリングをしたりと、好きな運動をしてすっきり感を味わってみてください。
「こんなに運動って気持ち良かったんだ」と思えれば、それから徐々に習慣にしていってカファのレベルを鎮静していけるはずです。
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新しいことをする
カファには「止まる」という性質があります。
カファの人は同じことのルーティーン作業が得意であるという一方で、新しいことをあまり挑戦しない傾向があります。これが、「止まる」や「静的」と表現されます。
なので、カファのバランスを捕るときには、その性質の反対のことをしてあげると良いんですね。つまり、新しいことをしてみるということです。
新しいことといっても、今までやったことのない運動や、新しい趣味のサークルに入ってみようというほど大きいものではありません。(もちろんできるならやってもOKです)
そうではなくても、日常の小さなことを変えてみると良いでしょう。例えば、以下の感じです。
- 普段通っている道を変えてみる
- 料理の味付けを普段と違うものにしてみる
- 古い靴や服を捨ててを新調してみる
- 休日は普段のんびりして過ごすところをレンタカーを借りて少し足を延ばしてどこかに行ってみる
このように今まである習慣を少し変えて、新しいものを取り込むことで、カファの人は新しい刺激を受けてサットヴァ的(生き生きと)生きられるはずですよ。
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「苦・渋・辛」の味の食事をとる
カファが乱れてしまったときには、口の中が甘くねばねばした感じになります。
そんなときには、「苦味」「渋味」「辛味」の食事をとるようにしましょう。
苦味:緑黄色野菜、葉野菜(ほうれん草、小松菜、)
渋み:豆類の料理、豆乳、たけのこ、
辛味:スパイス、薬味、ねぎ、たまねぎ
つまり、野菜を多くとってあげると、カファのバランスがとりやすくなるというわけです。
スパイスを摂取する
カファ体質の人やカファが乱れている人は、スパイスを摂取してあげると良いでしょう。
特に辛味のあるスパイス(ショウガ、コショウ、ワサビ、トウガラシなど)を摂取することで、体の中の熱を上げることができます。
普段の野菜炒めやスープなどの消化の良いものに、コショウを多めに入れてみるだけでも、カファのバランスを整えるのに一役買ってくれます。
また、コーヒーを飲むときにてもとにカルダモンパウダーなどをもっておくと、コーヒーのカフェインを解毒することができるほかに、体を温めてくれる効果も期待できるので、一石二鳥です。
温かい食べ物を食べる
温かいものはカファの「冷たい」という性質を鎮静させます。
カファには「冷たい」という性質があるので、それを抑えることができます。
ちなみに、ヴァータも「冷たい」という性質を持っているので、ヴァータ・カファ体質の人は特に温かい食べ物を食べるようにしてあげると、体調が整いやすくなります。
特に、季節も春先や雨が降るような湿って寒い季節には、消化のよい温かい食べ物を食べるようにするといいですね。
コーヒーは適度に!カファを根本から整えよう
今回ご紹介したように、コーヒーはカファを鎮静させて、眠気を覚まし、集中力を高めてくれる現代人の必須アイテムになっています。
しかし、そればかりに頼ってカファの乱れを根本から解決しようとしないと、どこかで体や心が本格的に悲鳴をあげはじめてしまい、結果として体調不良に陥ってしまう可能性があります。
なので、コーヒーを飲んでアクティブになるのは「ここぞ!」というときにしておいた方が、心と体のバランスをとるのに良いかもしれません。
もちろんコーヒーにはたくさんの体に良い部分も含まれますが、アーユルヴェーダやヨガ的には激情性(ラジャス)を高めるので、気持ちに波が立ちやすくなるといわれているということも覚えておいてほしいと思います。
好きなら飲んでも良いですが、やはり嗜好品として。
「必要だから飲まなくてはいけない!」とか「コーヒーがないとやっていけない」という状態になっているときは、自分の心と体のバランスをかえりみるときかもしれません。
もし、そのような状態になっていたら、私にいつでもご相談くださいね。
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