この記事の内容
- 心の質(トリグナ:サットヴァ・ラジャス・タマス)について解説
- アーユルヴェーダのトリドーシャとトリグナの関係を解説
- アーユルヴェーダにおけるトリグナ
トリグナを知ることで、自分の心の状態に気付きやすくなりケアをしやすくなります。また、日常でも他人に攻撃的になったり自暴自棄にならないようにするのに大いに役に立つはずです。
トリグナは「サットヴァ・ラジャス・タマス」のこと
トリグナとは心の質と呼ばれるもので、「サットヴァ(純粋性)」「ラジャス(激情性)」「タマス(暗黒性)」の3つがあります。
この概念は魂を覆っているガラスの様なもの、ヨガの哲学とアーユルヴェーダで使われる概念です。
そして、それぞれのグナが優位になると現れる特性が存在します。トリドーシャの心バージョンのようなものです。
ざっと説明すると以下の通りです。
- サットヴァ(純粋性):調和の取れた状態、安定感、穏やか、エネルギーがある
- ラジャス(激情性):活動的、興奮傾向にある、何かに溺れる
- タマス(暗黒性):休眠的、無気力、睡眠過多、目的を見失う
私たちの心はこれら3つの状態を常に持っています。なのでその時々の環境や自分の認知によってこの心のバランスは常に変化しています。
それでは、ひとつひとつを説明していきます。
サットヴァの性質(純粋性)とは
サットヴァ(純粋性):調和の取れた状態、安定感、穏やか、エネルギーがある
サットヴァは水晶やガラス、澄んだ湖面のような透明さと純粋さを兼ね備えた状態です。そして、これはダイヤモンドのように透明に光り輝いています。
サットヴァが優位な状態だと、ラジャスとタマスが抑えられ、心と体の状態はバランスして平穏が訪れます。
同時に、あらゆる迷いとは無縁で、自分の心にある純粋な思いを達成させるために、精力的に活動をすることができる状態です。
ヨガやアーユルヴェーダでは、このような純粋な状態であると物静かで落ち着いた輝き方をしているといわれています。
そして、この状態に生きることは、真我(アートマン)や神我(パラマトマン)とつながっていてるスピリチュアルな生き方であるといわれています。
ざっくりいえば宇宙の英知があなたを通じて表現されている状態といえます。
アスリートがまっすぐに一生懸命競技に取り組んでいるときの輝きは、このサットヴァに満ちたものです。人に感動を与えます。
ラジャスの性質(激情性)とは
ラジャス(激情性):活動的、興奮傾向にある、何かに溺れる
ラジャスは「激情性」や「動性」などと訳されるように、湖面の水が嵐の時のように波打っている心の状態です。輝きは炎のように激しくゆらゆらとした輝きをします。
この波の形は一定ではなく、いつでも激しく波打って形を変えるので、物を正しく反射させることができない状態なので、気持ち的には神経質な状態になっているとも言えます。
つまり、ラジャスが優位になると、欲望、切望、俗悪な考え、自慢、うぬぼれ、苦労、執着、憎悪、嫉妬、陶酔などの苦悩を生じさせます。
また、現実逃避をして、空想に逃げてしまうのもこのラジャスの傾向が高まっている状態だからと言えるでしょう。地に足がついていないときもラジャスが高まっています。
「○○が欲しい」という欲望を持って行動している状態はこのラジャスの状態です。この欲望は達成してもさらに上があって永遠に終わらないので、それも苦しみとなります。
タマスの性質(暗黒性)とは
タマス(暗黒性):休眠的、無気力、睡眠過多、目的を見失う
タマスは「暗黒性」や「暗性」と訳されるように、心の質の輝きが暗くなります。
そのため、自分自身の心と体に無頓着になる、無分別になる、悪、不幸、精神力の無さとといった状況になります。
このような性質がどんどん増えると、残虐な行為、嘆き、恐れ、悲しみ、憎悪、無精、惰性、惰眠、妄想、陶酔、不安などの心がじわじわと浸食してきて、汚れた行為を生じさせることになります。
すると、誰もが持っている魂の輝きはこのタマスの性質によって覆い隠されてしまい、本来の自分は何をして生きるかといった希望を見出せなくなってきてしまいます。
善い行いをするとサットヴァを高めるというのは、このタマスの心の状態とは反対のことですね。
トリドーシャとトリグナの関係
アーユルヴェーダでは「心と体はつながっている」や「心は体を支配している」とまで言われています。
そして、トリドーシャとトリグナのつながりを知っておけば、心と体を相互にケアしていくことができます。
それでは、トリグナとトリドーシャはどのようなかかわりを持っているのでしょうか。
トリグナの面からひとつひとつ説明していきます。
サットヴァであると心と体のバランスが整う
サットヴァは増えれば増えるほど、その人の生まれ持った体質や心の状態を社会に還元する形で活かされます。つまり、よく言う「自分の好きなことをして生きる」という状態ですね。
さて、サットヴァの心の状態であると、心と体のバランスが整います。
同時に、体のバランスが整うとそれと同時にサットヴァが増えます。
ヴァータ・ピッタ・カファのすべてのバランスが自分の生まれた状態に近くなれば近くなるほど、体のバランスは整っているといえます。
ただ、自分の生まれたばかりの状態はわかりませんよね。
でも安心してください、サットヴァな生活を送るとそのようにムダなものは徐々にそぎ落とされていきます。
行動を通じて体を変えると「体の状態がおかしいからケアしたい」と感じ、自分で毎日マッサージをしたり運動をしたりします。
そうすることによって自然と体のバランスがととのい、それと同時に心のサットヴァレベルも向上してきます。
ラジャス優勢だとヴァータとピッタの悪い状態
ラジャス優勢の心の状態だと、ヴァータとピッタが乱れた状態になります。
ヴァータやピッタが乱れると、他人に対して攻撃的になったり、イライラしやすくなるなど神経質っぽさがあらわれます。
これのほかにも、不安になったり恐怖感を感じて攻撃的になる、何かが無いと思ってそれを得るために手段を選ばないなどの行動を起こすようになります。
自分の行動の先に何かしらの犠牲や苦しみが生まれてしまうのがこの傾向です。
つい目の前の人と戦ってしまう人はヴァータとピッタを整えると、ラジャスも自然と減ってくれるはずです。
タマス優勢だとカファ(カパ)の悪い状態
タマス優勢だとカファの悪い状態になります。
タマスは先ほど説明したように暗黒性をもち、魂の輝きをそこで遮断させてしまう影響があります。
なので「だるい」「やる気が無い」「何もかもが面倒くさい」といったような無気力な状態に陥ってしまいます。
そうすると、怠け初めてどんどん自分の殻に潜ってしまったり、時に考えも及ばないような悪さをしたいような気持ちになってしまう傾向があります。
うつ症状を抑えるために太陽の光を浴びたり自然の中に行くといった行動は、サットヴァ性と高めてタマスを抑えてくれる働きがあります。
アーユルヴェーダにおけるトリグナとトリドーシャとの関係
アーユルヴェーダのトリドーシャとトリグナは非常に密接な関係があります。
何度もお伝えしますが、心と体はつながっています。
なので、心が何かしら「つまづいてしまっている」と感じているときは、体からケアしてあげることでその難を逃れることもできます。
では、アーユルヴェーダの知識やドーシャと絡めてトリグナを説明しています。
ラジャス性・タマス性・サットヴァ性の食事
アーユルヴェーダでは、食事によって心と体が作られるといいます。
つまり、ラジャス性の食べ物を食べていると、イライラしやすくなったり感情の振れ幅が大きくなるなどの影響があるといわれています。
例えば、チョコレートはラジャス性なので、これを食べると刺激作用があるので多く日常的に食べすぎると神経質になったりイライラしたりする傾向があります。
なので、これを中和するためにアーユルヴェーダでは「カルダモンとナツメグの粉末を混ぜたもの」を一緒に食べると良いといわれています。
また、不健康な食事パターンとして、ファストフードや市販のパン、菓子類などがあげられます。
これらはラジャスやタマスを上げるものであるといわれていて、実際に現代医学でもこの不健康な食事パターンが精神疾患の因子となりうるという研究結果が出ています。
食べ物の例
- サットヴァ性:新鮮な野菜や果物を使った料理 はちみつ ギー など
- ラジャス性:辛いもの、極端にしょっぱいもの、カフェインの入ったもの、発酵食品、乳製品(一部除く) など
- タマス性:古い料理、傷んだものを使った料理、熟しすぎたもの、ファストフード、菓子、市販のパン など
※上記はほんの一部です。できるだけ新鮮で愛情のこもった手作り料理を作ることでサットヴァが高まります。
サットヴァ性に富む食事
- 新鮮でおいしい
- みずみずさを感じさせるもの
- 腹もちがよいもの
- 愛情がこもっているもの
- 罪悪感が無く気分よくいただけるもの
ラジャス性に富む食事
- 過度に苦い、酸っぱい、しょっぱいもの
- 口を焼くような刺激があるもの
- 油気がないもの
- 口の中を刺すような味
タマス性に富む食事
- 新鮮ではない
- 味があまりない
- 悪臭がある
- 調理されてから時間がたっている(レトルト含む)
- 食べ残しのもの
- 盗んだもの(正規ルートで手に入れていないもの)
ラジャス性・タマス性・サットヴァ性の行動
食事と同様に行動にもそれぞれのグナの行動があてはめられます。
例えば、ピッタを乱すような行動であるお酒を飲む行動はラジャス性を高めます。そうすると、気分が開放的になって、自分の抑圧していた暴力性などが現れるときがあります。
これはラジャスに傾いてしまった状態です。
タマスを増やす行動は、自分の身の回りを散らかして、惰眠をむさぼり、やらなくてはいけないことも手を付けないことです。
面倒くさいけれどやりたくないというのは人間の性ではありますが、これをしていると、自分のスピリットは輝けないということになります。
サットヴァを増やす行動は「ありがとう」と人にいうことや、身の回りを片付けること、瞑想をすることなどです。
これによって、心と体が整って、人への感謝を忘れずに自分のすべきことに活動的に行えます。
サットヴァを増やすことで健康でスピリチュアルに生きる
食事・栄養・運動・睡眠を正しくとることはサットヴァを増やすための行動となります。
それを日々行うことによって、スピリチュアルに生きられる可能性が格段にアップするので、ぜひともやってみてください。
自分の心と体はあなたのものです。それを大切にして活かすという道は誰にでもできる方法です。
いい加減に扱ってそのまま一生を終えてしまうのはもったいです。
アーユルヴェーダで言うように、あなたに合った生活方法を試して、日常を送ってみてほしいと思います。
続きを見る
【体質診断】アーユルヴェーダで自分のドーシャチェック!
サットヴァ・ラジャス・タマスを理解して役立てよう
サットヴァ・ラジャス・タマスは私たちの心に必ずあるものです。なので、無くそうと思う必要はありません。
ただ、あなたが「スピリチュアルに生きたい」とか「私らしく生きたい」と思うのであれば、それをかなえるためにサットヴァに満ちた生活をしてほしいと思います。
どんなことをしたらいいのかわからないとか、もっと聞きたいという場合には、個人セッションも行っているので利用してみてくださいね。